【拭えぬモヤモヤ】J2 第15節 ザスパクサツ群馬×ジュビロ磐田 マッチレビュー

 前節6-0の大勝を引っ提げてアウェイに乗り込んだジュビロ磐田。21位と下位に低迷するザスパクサツ群馬相手に2試合連続での大量得点が期待された。

 終わってみれば試合結果は2-2のドロー。先制点を奪いながら同点・逆転ゴールを許し、追いついたものの勝ち越し点を奪えずに勝ち点1を分け合う結果となった。問題は2点しか取れなかった事か、それとも2点も相手に許した事か。試合で起きた4局面(セットオフェンス・セットディフェンス・ポジトラ・ネガトラ)を中心に振り返りつつ、現状の評価をしていきたいと思う。


1.システム及びメンバー構成

【ザスパクサツ群馬】
 ホームの群馬は予想どおりの4-4-2。2トップは大前と青木で、林はベンチスタート。松本山雅時代に”ソリボール”キットとして実績を残した岩上と宮阪がスタメンに名を連ねた。

【ジュビロ磐田】
 アウェイの磐田は、1勝1分と一応の結果が出ている3-4-3を継続。前節から1週間空いたためファーストセットを並べた。前線3枚は小川(航)・ルキアン・大森、後ろ3枚は大井・伊藤・藤田という鉄板のメンバー。

それでは、試合を振り返っていこう。いざいざ!

2.試合のポイント

① セットディフェンス

 まずは磐田のセットディフェンスであるが、全体的には上手くいったという印象。ロングボールのセカンドを大前が拾って展開する狙いに対してはCB陣の空中戦で対応。地上戦(ビルドアップ)を挑んできた際には、積極的に前プレスをかけて精度の低いロングボールを蹴らせて回収する場面が何度も見られた。

 ただし、気になる点が何も無かった訳ではない。磐田のWB2枚の立ち位置である。磐田の表記上のシステムは3-4-3ながら、相手の攻撃が始まる最初の段階から後方に引いて5バックを形成する事があった。そのため5-2-3となって中盤で人数不足が発生していたのは気になるところ。

 具体的には、群馬のキーパーがCFの青木を目がけて蹴ったゴールキックを大井が競り勝つも、ミドルゾーンにこぼれたボールを拾えず相手ボールとなる場面があった。当然5バックで構えるメリットはあるが、大切なのは状況に則したポジショニング。WBの立ち位置は工夫の余地がありそうだ。

② ポジティブ・トランジション

 続いてポジトラ。回数こそ多くなかったものの、磐田はポジトラでチャンスを作れていた。6分・33分・77分などが典型例で、十分 得点を予感させる形だったと思う。ポジトラの形を作るためには相手が地上戦を選ぶ事が前提となっており、群馬はリスク回避で空中戦を選択。磐田としては回数こそ少なかったものの、継続した前プレスを実行できた事は評価すべきだと感じた。

 一方でポジトラを作り出すアクションにはリスクが伴う。ロストした後にカウンタープレスをかけた裏を使われる可能性があるからだ。そのデメリットが出てしまったのが47分の群馬の決定機。群馬ボールになった後に山田がCBにプレッシャーをかけてキーパーに戻させる。キーパーが繋げばポジトラのチャンスが出てくるので、小川(航)・大森・山田の3人で前プレを開始。

 しかし、キーパーは繋がずにロングを選択。山田が不在の中盤では数的不利が発生。ミドルゾーンで競り負け、セカンドボールを拾われて前進を許したという流れだった。ポジトラによって素早い攻撃を行い 最短距離でゴールを目指す形は今季の主要テーマの1つ。だからこそ ロスト後に狙うカウンタープレスのオンオフの判断は、更に精度を高めていく必要がありそうだ。

③ セットオフェンス

 次にセットオフェンス。プレビューでは磐田3バックに対して 前線2枚でプレスをかけて磐田のWBにはSHが対応すると書いたが、蓋を開けて見れば予想は見事に(?)大外れ。ミドルゾーンでブロックを構えて迎撃するのではなく、ボールサイドのSHを前方に押し出す積極的な前プレスによって球出しの精度を落としにかかった。(下図参照)

 ところが群馬の狙いが的中したかと言うと、そうでもない印象。特に磐田の左サイドでは、プレス耐性のある伊藤がアプローチを受けながらも前方に正確なボールを配球。また、宮崎にボールが渡った後に対峙する岩上は、そもそも守備面の能力を売りとする選手ではない。フィジカルが強くない宮崎相手でも、タイトな守備は難しそうに見えた。

 右サイドに関しては藤田とルキアンのチグハグさが見受けられた前半だったが、後半は徐々に改善。55分・66分と立て続けにサイドを攻略してアタッキングサードに進入。2点目もルリーニャが相手2トップ脇まで落ちた位置からルキアンに縦パスを通した局面から生まれた。ハースペースを使った見事な形であった。

④ ネガティブ・トランジション

 そしてネガトラ。群馬戦の1失点目がネガトラによるもので、DFラインでの横パスを大井のトラップミスにより運ばれてゴールされたという流れ。もちろん個人のミスによるものだが、誰よりも選手本人が原因を理解してると思うので今後の改善に期待したいところ。

⑤ 2失点目

 磐田の2失点目は、4局面とは別に 個別に取り上げて話をしたいと思う。なぜ2失点目に注目するかと言うと「相手のゴラッソ」の一言で片づけるのは危険だと感じたからだ。万全の構えをしていたところに、突然 ゴラッソが降って湧いた訳ではない。流れはミドルゾーンでの相手のスローインから始まる。

 磐田は全員が相手陣内に入った状態。スローインのこぼれ球を相手に拾われDFライン裏にロングボールを蹴られる。磐田CB陣はかけっこが得意でないものの、相手より先に帰陣。ところがボックス内のマークのズレとバイタルエリアの人数不足が重なって、相手のシュートを許してしまった。シュートがゴラッソだったのは事実。しかし、その背景にはいくつかの問題点があったと思う。(下図参照)

※下図は左右にスライド可能です

 

 まずはボックス内のマークのズレ。ボックス内の相手選手はボランチがマークしなければいけなかったのか、という点。もう1つは山田がバイタルにいるフリーの選手(金城)を捨ててボールホルダーにアプローチに行った点である。山田の運動量は大きな武器だ。金沢戦でポジトラからの得点を量産したのも山田の貢献があったからこそ。

 ただし”動き過ぎる”デメリットも存在する。それが今回裏目に出てしまった。宮阪のミドルシュートを阻止するために前に出た可能性はあるが、バイタルに居るのフリーの選手とどちらの優先度が高かったか。そして、山田の”動き過ぎ”が気になるのは守備の場面に限った話ではない、という気がしている。気がしている程度なので確信がある訳ではないのだが…

3.あとがき

 という訳で、4局面と2失点目にフォーカスを当てて試合を振り返った。根本的にここが悪い!と断言するのが難しい試合ではあったが、少なくとも守備の安定性を目的に導入した3-4-3がちゃんと機能していなかったのは確かだと思う。

 感覚的には、ボックス近辺でブロックを組んでる場合は3CBの良さを出せている印象。そうではなく、ネガトラや中盤でブロックを組んだ状態から”かけっこ”を伴う場合に危うい感がある。個人的にはもう少し3-4-3を見てみたいので、攻撃の枚数を削っている以上は守備の練度を高めてほしいと切に願う。

 それから攻撃に関しては、この試合は押し込んでからの攻め方が気になった。最終的に相手ブロックをどうこじ開けるかであるが、結論から言うと縦パスが少ない印象。例えば66分の場面。大森が相手CHを引っ張り出して背中にスペースが出来るのだが、磐田はそのスペースを使うそぶりを全く見せない。この場面に限らずCH(DH)の背中を取る意識が低いと感じる。(下図参照)

※下図は左右にスライド可能です

 

 もちろん縦パスにはリスクが伴うので 選手の配置や試合の状況を考慮する必要がある。ただし、外回りメインの攻撃では小川(航)とルキアンが空中戦で競り勝てない対戦相手だと厳しくなるのも事実。この試合の2点目はルリーニャからハーフスペースを使ったルキアンへの縦パスが起点になっているが、ボランチやSHの立ち位置でハーフスペースを閉鎖するチームは多い。

 だからこそ、リスクを負って攻めなければいけない時には、ブロックの内部から崩す形を増やしてほしいと思う。ちなみにだが群馬 対 北九州の試合では、北九州が3-1-5-1の配置から群馬ボランチの背中を使った攻撃を何度も見せていた。

 首位の長崎とは勝ち点12差、2位の北九州とは11差となってしまった。シーズンはまだ3分の1が終了したとこなので昇格を諦める状況では全く無いのだが、心の中はモヤモヤしたまま。9月2日は勝ち点23で並ぶ東京ヴェルディ―と、週末には勝ち点25のアルビレックス新潟との対戦が続く。どちらも難しい試合になると思うが、しぶとく勝ち点3を重ねたいところだ。


試合情報
群馬 2 – 2 磐田(1-1 , 1-1)
主審:川俣 秀 副審:桜井 大介・塚田 健太 4th:高山 啓義
入場者数:1,317人(入場人数 制限有)
天候:晴れのち曇り

2 COMMENTS

やじん

素人目ですが、2失点はルキアンが宮阪から離れるのが早かったと思ってますが、どうなんでしょうか?
宮阪が良いロングシューターだったが為にルキアンが離れた後にチェックしに行かざるを得なかったと思いました。

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まっつん

指摘としては有りだと思います。局面だけを見た場合のベストな判断は、山田が金城をマークした状態でルキアンが宮阪にアプローチする連携だったかもしれません。あとは、ルキアンは守備時 左SHとなるので、群馬の右SBが上がってきていた事をどう考えるかだと思います。

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