【祭りの余韻】J2 第14節 ジュビロ磐田×ツエーゲン金沢 マッチレビュー

 松本に勝利して以降 3戦勝ち無しと波に乗れないジュビロ磐田がホームで迎え撃つは、柳下監督率いるツエーゲン金沢。磐田にとっても馴染みの深い指揮官と再び相まみえ事となった。今年還暦を迎えたヤンツーから3ポイントをもぎ取れるか。

 終わってみれば試合結果は6-0の勝利。8年ぶりの6得点に14年ぶりの6点差勝利という文字どおりの大勝となったが、この試合が”完勝”であったかはまた別の話。久しぶりのお祭りを存分に喜んだ上で、祭りの余韻に浸りつつも冷静に試合内容を振り返ってみたいと思う。


1.システム及びメンバー構成

【ジュビロ磐田】
 ホームの磐田は前節の町田戦で採用した3-4-3を継続。前線3枚は小川(航)・ルキアン・大森のベストメンバーをチョイスした。伊藤・大井・藤田が3バックを組む。

【ツエーゲン金沢】
 こちらは予想どおりの4-4-2。6得点のルカオは怪我で離脱しているため、杉浦と島津が2トップを組む。興国高校在学中の杉浦はスタメン入りとはならずベンチからのスタート。

それでは、試合を振り返っていこう。いざいざ!

2.試合のポイント

① 金沢の狙い

 まずは、この試合における金沢の狙いから振り返っていこう。磐田の3-4-3に対し、ボール非保持は4-1-3-2でセット。比較的マンツーマンの意識を強く持つチームで、対面の選手がボールを持ったら強く当たりに行く。磐田の3バックに対し、大井と伊藤には2トップが対応。藤田には左SH、小川(大)には左SB、宮崎には右SHをそれぞれ当てる。2列目の”3″の中央はアンカー番だ。 

 攻撃で肝となっているのがポジティブトランジション。マンツー意識の強いプレッシングからボールを奪って素早く攻める。中央を攻略できる場合は当然真ん中を狙うが 中央が難しければサイドから前進してクロスを送り込むのが基本的な狙い。クロスの質は山なりのボールではなく、DFとGKの間に速いボールを届ける。191cmのルカオが不在のため、ヘディング勝負を避けてDFの処理が難しい形を狙っているものと考えられる。

② ビルドアップに苦労した磐田

 冒頭で”完勝したかどうは別の話”と述べたが、前半35分頃までは比較的ビルドアップに苦労した印象を受けた。前述のとおり金沢は人に強く当たる傾向にあり、サイドからビルドアップする磐田に対してWBとHVのエリアを狩場とし、磐田の前進を何度も阻害した。(下図参照)

 また、31分には中盤で奪ったボールを磐田陣内深くまで運び、サイドからクロスを入れる場面も磐田にとってのこの試合は6得点という攻撃陣が大爆発した試合ではあったが、少なくとも前半途中までは前進の第一歩であるビルドアップに苦戦した事は認識しておきたい。

③ 流れを引き寄せた磐田の攻撃

 思うような前進ができない中、試合の流れが変わったのが前半36分。磐田が自らの手でビルドアップを成功させる。仕組みはこうだ。左サイドのスローインから伊藤が超高速のサイドチェンジで藤田にボールを送る。日本国内ではなかなか見られないパススピードであったため、金沢の守備ブロックはスライドが間に合わない。

 藤田からのボールを受けた小川(大)が目の前のスペースをドリブルで前進し、金沢の2ndラインを越えてアタッキングサードへの進入に成功した場面だ。(下図参照)

 この前進から金沢の守備ブロックを前後に揺さぶり、小川(航)の決定機を作り出した。シュートは惜しくもポストを叩いたものの、磐田のCF vs 金沢のCBの勝負はルキアン・小川(航)ともに勝利。43分には再びCFの質的優位性を活かして見事に先制点を挙げた。

④ 大量得点の理由

 後半早々に追加点を挙げて2-0となってから、金沢は人へのプレッシングを更に強める。とにかく早めに磐田からボールを奪い取って攻撃に繋げる狙いだ。しかし、この狙いが裏目に出る。

 磐田は3-4-3がベースではあるが、ボール保持時は3-1-5-1を形成する時間帯もあった。アンカーに上原、2列目の”5″は左右のWBが幅取り役となり 中央3枚が大森・山田・ルキアンの3人、1トップに小川(航)という配置。金沢は高い位置まで前に出てプレスをかけるため、DFライン後方には大きなスペースが出来てしまう。サイドからのビルドアップの際、磐田のWBに喰いついたSB裏のスペースを2列目の選手が裏取りする形が見られた。

 そして、もう一つ 功を奏したのが磐田の連動したプレッシングである。2点リードした状態で守りに入らず、金沢ボールの際には前線からの積極的なプレスを継続。磐田の3点目・5点目・6点目はいずれもポジトラからのショートカウンターによってもたらされた得点であった。(下図参照)

※下図は左右にスライド可能です

3.まとめ

 という訳で、中断明けから抱えている効果的なビルドアップが行えない問題について この試合で完全に解消したと考えるのは早計という印象である。後半はスムーズにビルドアップできた場面もあったが、磐田がリードした事で金沢が高い位置からプレスを仕掛けたという前提があった。

 6得点のうち半分はポジトラからのショートカウンター。もちろん、これが悪い訳ではない。ボールを奪ってから素早く縦に攻める攻撃は今季の主要テーマの一つであるため、今後も狙っていきたいところ。その上で、磐田というチームは本来ボールを保持したセットオフェンスを最重要視している。

 膠着した試合展開では通常 相手は無理に高い位置からプレスをかけない。この様な状況でビルドアップの成功回数を増やすためには、3-4-3(3-1-5-1)の練度を更に高める必要があるだろう。過密日程により戦術面のアップデートを図るのは容易ではないが、初めて3-4-3を採用した町田戦から進歩は見られたので、今後に期待したいところだ。

 3-4-3と4-4-2のどちらを好むかは人によって異なると思うが、現状 少なくとも守備面では3バックの良さを出せている。CBが1人釣り出されても中央に2人残っているので、相手FWを簡単にはフリーにさせない。また、千葉戦のレビューで述べたネガトラ時にCBが相手FWを掴まない問題に対する意識向上が見られているのも好材料。1週間のブレイクを挟んで再び5連戦が始まる。金沢戦の勝利を無駄にしないためにも、3ポイントを重ねていってほしい。


試合情報
磐田 6 – 0 金沢(1-0 , 5-0)
主審:窪田 陽輔 副審:桜井 大介・中澤 涼 4th:鈴木 規志
入場者数:2,262人(入場人数 制限有)
天候:晴れ

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