【プレビュー】J2 第10節 ジュビロ磐田×松本山雅

 琉球・愛媛とのアウェイ2連戦を1勝1分で終えたジュビロ磐田。今節は、中5日でホーム ヤマハスタジアムに松本山雅を迎える。昨シーズンともにJ1を戦った松本は、8年間続いた反町体制が幕を閉じ 今季新たに布監督を招聘。新監督の下でJ1昇格を見据えたチーム作りを進めているが、ここまで勝ち点9の16位と思うような結果を残せていない。また、現在3連敗中であり、中断明け以降はアウェイ未勝利が続いている。

 一方の磐田も昇格に向けて順調とは言い難い状況だ。前節愛媛戦に勝利したものの1位長崎とは勝ち点9差、2位大宮(1試合少ない)とは4差と 上位陣に後れを取っている。自動昇格圏内に入るためには勝ち点80到達が目安となっており、磐田サポのblue tearsさん(@oldschoolbeing)がまとめたグラフによると、昇格ラインを下回っている事が分かる。

 J2リーグは今節で10試合が経過。この後、2週間で5試合を戦う本格的な過密日程に突入していく。また、松本の後は大宮・千葉・町田という厄介な相手との対戦が続く。特に、大宮との一戦は”シックスポインター”であり、勢いを持って埼玉に殴りこみたいところ。そのためにも松本戦は勝ち点3が必須となる。
 
それでは松本山雅との一戦を展望していこう。

過去の戦績

  • 通算成績は 1勝2分1敗 の五分(リーグ戦のみ)
  • J2での対戦は2014年に1分1敗
  • 磐田の1勝は2019年のアウェイゲームであるため、ヤマハスタジアムでは未だ勝利無し

予想スタメン

 予想スタメンは割愛する。過密日程が本格化し、次節が次のミッドウィークであるため次戦を見据えた戦力の入替えが予想されるからである。それに加えて、松本は主力選手の負傷が相次いでおり、怪我人の復帰を含めて予想できないというのが正直なところだ。

そこで、メンバーではなくシステムについて考えてみたいと思う。

 磐田はいつもの4-4-2で、松本は3-4-3と予想。松本に関しては布監督の下で4-4-2と3-4-3を併用している。直近では、北九州戦は3-4-3、町田戦は4-4-2でスタートして途中から3-4-3に変更と、試合ごとに または試合経過に応じて2つのシステムを使い分ける。磐田戦に関してはボール非保持を重視して3-4-3を選ぶものと予想する(詳細は後述)。

試合のポイント

 この試合における松本山雅の狙いを踏まえつつ、ポイントになりそうな点を具体的に述べていこう。反町時代の松本は3-4-3をベースに、ハイプレス&ショートカウンターやセットプレーを中心とした”自分たちがボールを握らない”狙いがあったように思う。

 一方で、今季の松本の試合を見ると、自分たちがボールを持ってからどう攻めるかという狙いがあるように感じた。そこで、松本のボール保持における攻撃パターンについて述べる。また、磐田ボール保持における松本の振る舞いについても取り上げる。

※図に登場する選手名は両チームともに前節先発した選手であり、予想スタメンではありません

① 地上戦も織り交ぜる松本の攻撃

 まずは、中盤を省略したロングボール使ったパターンがある。DFラインからロングボールをFWに当て、シャドーがセカンドボールを拾って少ない手数でゴール前に入っていく流れだ。町田戦と北九州戦で1トップ役を担っていたのが阪野。身長181cmとそこまで上背はないが、力強いポストプレーで何度かこの形を作っていた。(下図参照)

 また、セカンドボールを拾うためには磐田のMF-DFライン間でスペースを確保する必要がある。松本は、DFライン裏へロングボールを送り込み、DFラインを下げさせる事でライン間のスペースを広げようとする仕込みを行っていた。

 もう1つのパターンが地上戦である。今季の松本は3-4-3をベースにサイドからのビルドアップも狙う。仕組みはこうだ。左右のCBがハーフレーンの入り口に立ち、WB・DH・シャドーとともに菱形を形成する。菱形の最も低い場所に位置するCBが配球役となり、菱形を変形させながらハーフレーンを中心に前進して相手ペナルティーエリアに進入していく形である。(下図参照)

 ”変形”のパターンは、時計回り/反時計回りに回転する”旋回”や、低い位置の頂点が他の頂点を追い越していくパターンなど、いくつかのバリエーションが見受けられた。

 町田戦の前半は4-4-2から偽サイドバックを仕込んで、相手DFラインのチャンネル(CB-SB間のスペース)を狙う形を見せていた。この狙いからも、今季の松本は昨季までと違って、ボールを保持した状態からハーフレーンやライン間を狙うチーム戦術が見て取れる。ただし、町田戦・北九州戦を見る限り、ボール保持の仕込みは”菱形ビルドアップ”を中心にいろいろ試しているものの、完成度はそれほどでも無いと感じた。

 磐田としては、1トップへのロングボールはCBがしっかり競り勝つ事。次に、セカンドボールを先に拾う事を徹底したい。シャドーに外国籍選手が入る場合は、拾われた後のミドルシュートやドリブルに注意が必要。サイドからのビルドアップはそこまでのクオリティではないので、今の磐田守備陣なら十分対応できるはず。また、相手のビルドアップを単に跳ね返すだけでなく、奪ったボールを素早くFWに当てて展開するポジティブトランジションからのチャンスメイクも狙いたいところだ。

② 磐田ボール保持に対する松本の狙い

 磐田のボール保持に対して松本がどう振る舞うかが この試合最大のポイントと言って差し支えないだろう。中断明け直後の京都戦以降、磐田は前節の愛媛戦も含めて「前プレスをかけて磐田DFラインの自由な球出しを阻害する」プランに苦しんでいる。松本は、対磐田用の守備戦術として定番となりつつあるこのプランを採用するだろうか。

 松本のボール非保持のプランを予想してみよう。「予想スタメン」で述べたとおり、今季の松本は4-4-2と3-4-3を併用。直近では、ミッドウィークの町田戦は4-4-2の前プレス無しでミドルゾーンにブロックを構築。ボールがファーストプレスラインを越えたら迎撃するスタイルであった。一方、北九州戦では3-4-3(5-2-3)と前線に3枚配置した状態から前プレスをかけて相手DFラインの自由を奪うという2種類の顔をのぞかせた。

 磐田戦はどう出てくるか。個人的には、北九州戦と同様に3-4-3からの前プレスと予想する。理由は2つ。1つは、前プレスによるDFラインの球出し阻害に対して、磐田が対応に苦しんでいる事。2つ目は、大井健太郎の復帰に伴って3CB化を多用するであろう磐田に対し、前線に3枚置く3-4-3の方がプレスをかけやすいからである。前プレスの仕組みについては下図を参照してほしい。

※下図は左右にスライド可能です

 愛媛同様に反則すれすれの強度で来るであろう松本に対し、問題は磐田がハイプレスをどう回避するかである。松本のプレスを剥がして前進に成功するか、これまで苦労してきたように中盤でボールを繋げず、ロングボールを蹴らされて相手に回収されるか。

 そこで、磐田にとって有効となるプレス回避策を考えてみたい。過去の試合において、相手の前プレスを個人(例えば松本昌也)の巧みなポジショニングでプレッシャーを回避して前線に展開するといった回避策が何度か見られたものの、組織的な対応として相手の強いプレスを無効化する事はできていない印象を受ける。ここでは、個人スキルに基づく属人的な観点ではなく、松本の振る舞いに応じた攻略法を考える。

 まず、松本はボール非保持の際に2つの配置を使い分ける。自陣に完全撤退する場合は5-4-1だが、ボールが相手陣内にある場合は既に述べたとおり3-4-3(又は5-2-3)と前線に3枚並べた状態から前プレスを試みる。その際、プレス隊は前線3枚+WB1枚+DH1枚が中心となって、ボールサイドから人を捕まえに行く。よって、残るボランチ1枚周辺にはスペースが生まれやすく、磐田としてはここを狙っていきたい。(上図参照)

 生まれたボランチ脇のスペースに、ボールと人をどう送り込むか。具体的なボール供給ルートは2つ。1つは、左右のCB(大井)からパスを受けたSB(櫻内)がダイレクトで落とす形。もう1つが、SBへのパスを見せ金に松本のプレス部隊を引き付けてからロブパスを送り込むルートだ。そして、スペース内でFW(小川)がボールを受けて前線に展開する。このエリアはスペースこそ生まれるものの、松本としてはCBを前に出して潰す設計になっているはず。そのため、フィジカル面で相手CBに負けない強さと上手さが小川航基に求められる。(下図参照)

 実際に磐田がこのスペースを狙うとなると、相手CBを背負ってプレーするFWの出来にかかってくる。小川航基か、はたまた別のFWが起用されるかは蓋を開けてみなければ分からないが、小川航基が起用されたら大いに期待したい。

 開幕戦以降、ゴールから遠ざかっている小川はチャンスに絡めてはいるものの、簡単にDFに競り負けてしまうなど、ここ最近は随所にらしくないプレーを見せている。彼の復活無くして、磐田の躍進は無い。ジュビロ磐田のエースは小川航基なのだから。

 ボールに絡んでチャンスを作り、自らゴールを決める事がエースの仕事であり責任でもある。勝利に貢献し、チームを勝ち点80のラインに導いてほしい!

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