【求ム、対策の対策】J2 第7節 ジュビロ磐田×徳島ヴォルティス マッチレビュー

再開後、なかなか波に乗り切れないジュビロ磐田がホームで迎え撃つは、リカルド ロドリゲス率いる徳島ヴォルティス。過密日程の関係で1週間前の北九州戦をセカンドセットで戦い、昇格を争うライバルとなるこの一戦はファーストセットで臨んだ。磐田としては満を持して迎えた一戦だったはずだ。

試合結果は0-2の敗戦。前半22分で早々に2点差を付けられ、その後1点も返すことができなかった。磐田はいかにして敗れたのか。完敗には違いないが、出来た事と出来なかった事を整理する必要がある。この記事では、徳島の攻守の狙いと磐田の攻撃についてフォーカスをあてて試合を振り返る。


1.システム及びメンバー構成

【ジュビロ磐田】
前述のとおり、ファーストセットのレギュラーメンバーを起用。なかなかレギュラーが定まらない左サイドバックは宮崎が2試合連続のスタメンとなった。また、3日前にキャプテン大井健太郎の復帰の可能性が報じられたが、大事を取ってベンチ外となった。

【徳島ヴォルティス】
基本フォーメーションは3-4-2-1だが、ボール保持は3-1-5-1、ボール非保持は4-4-2でセット右シャドーとウィングバックが、それぞれサイドハーフとサイドバックに変化して4-4ブロックを構築する可変システムとなっている。

それでは、試合を振り返っていこう。いざいざ!

2.試合のポイント

① 徳島の攻撃の狙い

徳島の攻撃は、磐田の2トップ脇から左右のCBが攻撃参加する狙いがあったと感じた。磐田のファーストプレッシャーラインを越えて、前線に質の高いボールの供給やサイドで数的優位を作る事が可能となる。

徳島の先制点につながったCKも、PKのきっかけとなったスローインからハンドまでの流れも、いずれも右CBの持ち出し(ドライブ)が起点となっている。実は、開始直後の1分55秒で、右CBが最初のドライブを試みている。磐田の2トップは中央にステイし、アンカーをマークする守備体系。そのため、どうしても2トップ脇にスペースが出来てしまう。

徳島は磐田の2トップがそこまで熱心に追ってこない事を確認し、CBのドライブを繰り返して、見事に得点に繋げた。磐田としては、デザインされたCKとハンドによるPKである事から、一見すると不運で仕方がない失点であるようにも思える。しかし、CBのドライブを許した事が失点のきっかけになっているので、今後は改善が必要と言えるだろう。

② 徳島の守備の狙い

徳島の守備の狙いは、磐田のSBやCBからの自由な球出しを制限し、可能な限りロングボールを蹴らせて回収するプランだったと感じた。ボール非保持は4-4-2でセットし、引いてブロックを組むのではなく前に出て磐田の自由を奪う。

伊藤をCBにコンバートして以降の磐田は、ボランチを2CB間に落とすサリーダを常用しない。最近の試合では、状況を見て2CB間ではなくCBの脇(主に藤田の右)に落とした3CBを形成する事もある。2CBのままだと、徳島のFWと磐田のCBが同数となり、徳島が前プレスをかけた場合に効果的なビルドアップが難しくなってしまうため、状況によって2CBの間や脇に落ちて3CBを形成する。

そんな磐田に対し、徳島の両SHは左右のCBの正面に立つ。この狙いは、ハーフスペースに蓋をする事にある。対磐田用の守備の仕方として定番になりつつある構えだ。レギュラーメンバーの場合(と言うより針谷以外の選手は)、ディフェンスラインから中央を使ったビルドアップを殆ど行わないため、左右のCBが縦を切られると、SBに出さざるを得なくなる。

そして、磐田のSBにボールが出たら、徳島はSHもしくはSBとSHで強い圧力をかけて前方への展開を阻止する。また、素早いサイドチェンジを防ぐために、FW・ボランチの動きでSBからボランチ(主に上原)へのパスルートも遮断。前方及び横方向への展開が難しくなった磐田SBは、CBへのバックパスを選択してビルドアップを作り直す。

この流れで再び徳島のSHがCBに圧力をかけて、最終的にゴールキーパーに戻させ、ロングボールを蹴らせて回収する。ビルドアップの中で、磐田が自らの意思でロングボールを採用した場合は上手く前方で収まるシーンはあったが、徳島の前プレスによって”蹴らされた”場合は殆どマイボールに出来なかった印象だ。

CBの藤田にしても、ゴールキーパーの八田にしてもプレッシャーが無い状況であれば比較的パスの精度は高い。しかし、福岡戦もそうであったが、最近の磐田は前プレスをかけられてロングボールを蹴らされる→ボールを回収できない→前プレスを継続される、という悪循環が目に付く。今後は、”蹴らされた”ロングボールであっても前線で起点を作り、その後の相手のプレス精度を落とす、といった前プレスの回避策に期待したい。

③ 徳島の守備に対する磐田の攻撃

磐田の攻撃について、出来た事と出来なかった事を整理していきたい。

出来た事としては、試合の大部分でボランチを経由したサイドチェンジは阻害されたものの、前半4分には左サイドから右サイドに素早く大きな展開を行い、ハーフスペースを効果的に使用した決定機を演出した。その他には、前半14分にはロングボールを使って前線での起点作りに成功した場面もあった。流れはこうだ。

※下図は左右にスライド可能です

DFラインでロングボールを蹴ろうとする山本に合わせて、松本が足元で受けようと落ちる動きで相手ボランチを引っ張り、小川(航)が裏抜けの動きで相手DFラインを押し下げる。この2つの連動した動きで徳島のDF-MFラインのスペースが広がり、山本からパスを受けたルキアンが余裕を持って起点を作る事が出来た。結果も内容も完敗ではあったが、何も出来なかった訳ではなく、数は少ないながらも狙いを持った攻撃や連動した形が作れていた事は覚えておきたい。

続いて、出来なかった事としては、前述のとおりスムーズなビルドアップが挙げられる。パスコースを制限された前プレスによってロングボールを蹴らされて回収されるという場面が何度もあった。

3.今後の展望

ここまでの3敗を振り返ると、京都戦・福岡戦・徳島戦のいずれの試合も、相手がハーフスペースに蓋をした状態から自由な球出しを制限され、強い前プレスによってロングボールを蹴らされている。そして、質が落ちたロングボールであるためマイボールキープできず、相手の前プレスを弱める事ができない。

昨季であればアダイウトンという矢があったため、強いプレスを受けても独力で運ぶ選択肢があった。今季は、ルキアンが左サイドに流れて同じプレーを試みており、実際に突破できる場合もあるがビッグチャンスを量産しているとは言い難い。

つまり、「ハーフスペース制限から前プレスでロング蹴らせて回収する」という相手の対策に対する有効な対策が講じられていない事に苦戦の原因があると言える。例えば、前プレスを剥がして効果的な前進が出来れば、相手は前プレスを継続するかステイするか判断に迷うかもしれない。判断に迷いが生じれば前プレスを継続するにしても精度が甘くなり、磐田がビルドアップしやすい状態となる。

現在、7節を終了して勝ち点10の10位。昇格レースに黄信号が灯ったと言うには早計であるが、”対策の対策”が打てなければ今後も苦戦は続くだろうし、勝ち点3を安定して積んでいく事も難しくなるだろう。相手の前プレスを無効化する個人戦術や集団戦術の早急なアップデートに期待したい。


試合情報
磐田 0 – 2 徳島(0-2 , 0-0)
主審:井上 知大 副審:村井 良輔・中澤 涼 4th:岩田 浩義
入場者数:2,505人(入場人数 制限有)
天候:曇り

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です